無の自分


ときどき「無の自分」に戻る。

仕事をしている自分でもない。

誰かに評価される自分でもない。

何かを達成しなければならない自分でもない。

昨日失敗した自分でも、明日のことを心配している自分でもない。


ただ、今ここにいる自分。


人間はいつの間にか、いろいろなものを自分にくっつけて生きている。

仕事、立場、お金、人間関係、趣味、評価、期待、後悔。


それらはもちろん大切なのだが、あまり強く握っていると、それが自分そのもののように思えてくる。

仕事で失敗すれば、自分が駄目になったように感じる。

誰かに嫌われれば、自分の価値が下がったように感じる。

何かを失えば、自分まで欠けてしまったように感じる。


そんなとき、一度全部外してみる。


仕事もない。

評価もない。

昨日も明日もない。

何かを持っているから自分なのではなく、それらを全部取り払ったあとにも、とりあえず自分は残っている。


腹が減れば食べる。

眠くなれば寝る。

外が暖かければ気持ちいい。

ここまで外してみる。


いったん、何も持っていない「無の自分」に戻る。

そして必要なものだけ、また一つずつ拾うようにしている。

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